ショウジョウバエを用いた研究で卵巣の腫瘍を防ぐ遺伝子を発見
東北大学大学院生命科学研究科は、同大学院の山元大輔教授のグループがショウジョウバエを用いた研究の中で細胞の増殖にブレーキをかけ卵巣の腫瘍を防ぐ遺伝子の仕組みを解明したことを発表した。本研究成果は、米科学誌「サイエンス(Science)」1月17日号に掲載された。
(画像はプレスリリースより)
Btk29A遺伝子が生殖幹細胞の増殖を終結させる仕組みを解明
同研究グループは、卵のもとになる細胞の増殖が止まらなくなり卵巣を腫瘍化させる突然変異体をショウジョウバエで発見した。異常が発生した遺伝子を探ったところ、ヒトの遺伝性免疫疾患である無ガンマグロブリン血症(XLA)患者で機能不全を起こしている遺伝子と同一のBtk29A遺伝子であることが判明した。
Btk29A遺伝子が働く場は、卵巣小管の外枠を作る一部の非生殖細胞の“ゆりかご”にあたるエスコート役を果たす細胞であり、Btk29A遺伝子は増殖を止める司令を出す役目を担っていることが明らかとなった。
組織の再生誘導やがんの抑制に新たな可能性
増殖終結を司令する仕組みは、無脊椎動物から哺乳類に至るまで幅広い動物に共通した増殖抑制の仕組みであり、ヒトの細胞でも全く同じであることも明らかとなった。
同研究グループによると、組織の再生誘導やがんの抑制などに新たな道を開く可能性を秘めた発見といえるとのこと。

東北大学大学院生命科学研究科 プレスリリース
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