今回の発見の概要及びポイント
慶応義塾大学は、NK細胞に肺血管透過性制御の機能があることを発見したと2013年12月24日に発見しました。この発見は慶応義塾大学医学部内科学教室(循環器)の佐野元昭准教授と内科学教室(呼吸器)の共同研究グループによってもたらされました。
具体的に今回の発見のポイントは3点あり、第一に、同共同研究グループは心筋梗塞の後異常に活発になる好中球が肺の血管内皮細胞を傷つけた結果として、低酸素血症を引き起こすということ、第二に、肺の中にあるNK(ナチュラルキラー)細胞がその好中球により肺の血管内皮細胞傷害することを発見しました。
最後に、第一・第二の発見の結果として肺のNK細胞が免疫反応を沈静化する働きを有するサイトカインIL-10を生成することで、肺組織への好中球の侵入を抑制していることが発見されたのです。
今後の展開
今までは心筋梗塞後に心不全の患者が低酸素血症を起こす理由として、肺動脈の圧が高くなり血液内の液体成分が肺の内部に染み出すとされていました。しかし、今回の研究によって、肺の炎症にも寄与することがわかりました。このことは、上記の新たに発見された機能を生かしたNK細胞を利用するNK細胞療法として、心不全治療に対する新たな治療法として今後期待されます。

慶応義塾大学 プレスリリース
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