今回の発表内容の概要
理化学研究所は、関節リウマチの発症に関わるとされる101個の感受性遺伝子領域を同定しただけではなく、新たなゲノム創薬手法を開発し、関節リウマチの治療における新規の治療薬候補をも同定したことを、2013年12月26日に発表しました。
自己免疫疾患の一つである関節リウマチは、その発症には遺伝的要素も多く、これまでにも国内外の研究グループがゲノムワイド関連解析を実施し、関節リウマチの発症に関与する感受性遺伝子領域を数多く報告してきました。
今回、理化学研究所は理研統合生命医科学研究センターと、東京大学、京都大学、東京女子医科大学、そしてハーバード大学を中心とする国際研究グループを結成し、アジア人欧米人を含む10万人以上を対象としたビッグデータ解析を実施し、今回の同定に至りました。
今回の研究成果
結果として、新たに発見された42領域を含めると、合計101の領域の同定に成功しました。これらを多様な生物学的データベースとの網羅的照合を行った結果、関節リウマチの感受性遺伝子の一部が白血病などのそれと共通していることが判明したのです。さらに、関節リウマチの病態が、多様なサイトカインシグナルによって制御されていることも判明しました。
この、ゲノムワイド関連解析によって同定した疾患の感受性遺伝子領域内の遺伝子と創薬データベース上のターゲット遺伝子の関係を調べることで、候補となる治療薬を発見するという手法は、新しいゲノム創薬手法といえます。
これによって、他の病気に対する既存の治療薬の中でも、関節リウマチの感受性遺伝子が対象となりうるものもあり、それらの既存治療薬を関節リウマチの治療に適応拡大できる可能性を示したといえます。

独立行政法人 理化学研究所 プレスリリース
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