より治療しやすい環境を
厚生労働省は11月28日、第5回産業競争力会議医療・介護等分科会で、新たに「アクセス制度」を創設し、平成27年度以降に本格的に始動することを明らかにした。アメリカやEU等で導入されている「コンパッショネート・ユース制度」を日本でも導入しようというもので、すでにモデル事業として医師主導治験が行われている。今後は課題の洗い直しなどを行い、さらなる検討を重ねていくという。
(C)BlackRiver 2007 All Rights Reserved(画像はイメージです)
「コンパッショネート・ユース制度」とは
未承認、または適用外の医薬品について、患者にとって医療上必要性が高い場合に限り使用を認めるのが「コンパッショネート・ユース制度」だ。重い身体障害を引き起こすや生死に関わる疾患を持つ患者の救済を目的としている。日本でも以前から実施について検討されてきたが、現行制度との兼ね合い、安定供給や安全性の確保など課題が多く、今回の決定に至るまでに長い時間がかかった。
「アクセス制度」概要
本制度が適用されるのは、重篤性の高い疾患であり、未承認薬の使用以外に療法が無いなど、医療上必要性が高い未承認薬や適用外薬だ。対象となる患者は、企業の治験対象基準を満たせない重症患者など。実施するのは、国立がん研究センターのように高度な治験・医療機能を持つ医療機関となっている。ただし現状では、本制度下で行われる治療は保険適用されないため、政府は保険外併用療養の範囲の見直しも検討している。
患者にとっては治療の選択肢が広がる可能性を持つ「アクセス制度」。本格的な導入までまだ時間があるが、今後の動きに要注目だ。

厚生労働省 第5回産業競争力会議 医療・介護等分科会資料
http://www.kantei.go.jp