バイオ医薬品の経口投与薬開発に期待
熊本大学は、8月21日、バイオ医薬品の消化管吸収を促進させることが可能な「新規小腸透過ペプチド」を発見したと発表した。
この成果は、同学大学院生命科学研究部(薬学系)微生物薬学分野・山口駿介大学院生らの研究グループによるもの。バイオ医薬品の経口投与薬開発に期待が持てる成果だという。
経口製剤が未だ存在しないバイオ医薬品
現在上市されている多くの医薬品は低分子化合物であり、消化管吸収を担う小腸から吸収が行われる。そのため、飲み薬として投与する経口製剤の形での使用が可能となっている。
しかし、近年注目されているバイオ医薬品は、構成分子量が大きい中分子・高分子化合物であり、小腸からはほとんど吸収されない。バイオ医薬品の経口製剤は未だ存在せず、注射薬として使用されている。
注射は、患者にとっては身体的および精神的に負担の大きな投与方法となる。バイオ医薬品の小腸吸収を促進させる新しいドラッグデリバリーシステムの開発が、待望されていた。
細胞内への送達を促進させる
今回同研究グループが発見した「細胞膜透過ペプチド」は、細胞膜を通り抜けて細胞内に内在化する能力を持つペプチド。このペプチドを、細胞膜透過性が低いペプチドやタンパク質、また核酸などに結合させることで、細胞内への送達を促進させることが可能になるという。
この成果は、これまで注射剤として用いられてきたバイオ医薬品の経口投与を可能にし、患者のQOL向上に繋がる発展が期待できるものであると、同研究グループはしている。
(画像はプレスリリースより)

消化管での吸収を促進させる「小腸透過ペプチド」を発見 バイオ医薬品の経口投与薬開発に期待 - 熊本大学
http://www.kumamoto-u.ac.jp/