研究グループ「DELIRIA-J」の成果
順天堂大学は、8月18日、同学の研究グループがオレキシン受容体拮抗薬のせん妄予防効果を実証したと発表した。
この成果は、同学大学院医学研究科・八田耕太郎教授らの研究グループ「DELIRIA-J」が2015年4月から開始した「スボレキサントのせん妄予防効果:プラセボ対照ランダム化比較試験」研究によるもの。せん妄症状の短期的・長期的予後の改善に繋がることが期待できるという。
オレキシン受容体拮抗薬「スボレキサント」に着目
せん妄は、意識水準の変動に幻覚や興奮を伴う、一種の脳症。加齢変化に伴って、手術や全身疾患などを直接の要因として発症する。看護上の配慮などが多少の予防効果を発揮することは報告されているが、実効性がある薬物療法は未だ確立されていない。
せん妄の主要な特徴は睡眠覚醒サイクルの障害であるため、その維持に関わる生理物質のメラトニンによる予防効果が期待できると「DELIRIA-J」は考えた。そして、新規不眠症治療薬であるオレキシン受容体拮抗薬「スボレキサント」に着目し、同剤がせん妄予防効果をもつという仮説に基づき今回の研究を開始している。
薬物療法による新たな予防の道を拓く
同研究では、せん妄リスクがある65歳から89歳の救急入院患者72名を対象として、「スボレキサント」あるいはプラセボを投与。結果、「スボレキサント」服用群ではせん妄の発症はなかったが、プラセボ服用群では17%にせん妄が発症した。
「DELIRIA-J」はこの成果について、今まで実効性がなかったせん妄の療法に、薬物療法による新たな予防の道を拓くものとしている。
(画像は順天堂大学の公式ホームページより)

オレキシン受容体拮抗薬のせん妄予防効果を実証 せん妄の治療から予防へのパラダイムシフト - 順天堂大学
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