がんの診断の標的・タンパク質を、定量的に検査
東北大学は、8月9日、同学大学院医学系研究科の研究グループが、がん分子標的薬の効果を投薬前に高精度で診断する方法の開発に成功したと発表した。
この開発は、同研究グループがコニカミノルタ株式会社と共同で行ったもの。明るく光るナノ粒子を利用した高感度定量イメージングを用いて、がんの診断や治療の標的となるタンパク質の量を、感度・精度良く定量的に検査することが可能になったという。
免疫組織化学法と蛍光免疫染色法の問題点を克服
がんの組織診断では、診断や治療の指標とすべく、様々ながん関連タンパク質の量を調べることが必要となる。タンパク量の算出は、手術前の生検や手術で摘出したがん組織を使い、主に免疫組織化学法という方法で行われている。しかし免疫組織化学法には、タンパク量の定量性に問題があった。
タンパク量の定量性が低いと、がんの診断精度が悪くなる。そのため、定量性が高い検出方法として蛍光免疫染色法が開発された。しかしこの手法にも、組織が強い自家蛍光を発するという問題があり、課題となっていた。
同研究グループはこの課題を解決すべく今回、「東北大学の蛍光ナノ粒子の1粒子イメージング技術」と「コニカミノルタ社の材料合成技術」を融合し、新しい蛍光染色法を開発した。
患者に適した抗がん剤を選択する指標に
同研究グループが今回開発した蛍光染色法は、がん組織のがんに関連するタンパク質の検出に適用した結果、従来の方法に比べ300倍以上の検出感度で目的タンパク質の量を正確に測定することに成功。乳がん患者のがん組織診断に応用すると、薬物療法の効果を治療前に精度良く診断予測することに成功したという。
同研究グループはこの蛍光染色法が、患者に適した抗がん剤を選択する指標となり得るものであり、精密医療への貢献も期待できるとしている。
(画像はプレスリリースより)

がん分子標的薬の効果を投薬前に高精度で診断する方法の開発 - 東北大学
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