新薬承認を得るための、最終段階の試験
ナノキャリア株式会社は、8月8日、局所進進行性・転移性膵がんを対象とする「NC-6004」の第3相試験について、新規患者登録を再開したと発表した。
同試験は、同社および台湾Orient Europharma社が日本とアジア地域において共同で実施されている、多施設共同比較試験。新薬承認を得るための、最終段階の試験となっている。
高い抗腫瘍効果を持つ「シスプラチン」の副作用を軽減
「NC-6004」は、高い抗腫瘍効果を持つ「シスプラチン」の副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も目指して調製された、新規化合物。
「シスプラチン」は、細胞内のDNAと結合することでDNAの複製をさまたげ、分裂・増殖を抑えて死滅させる作用を持つ薬剤。「白金製剤」に分類されており、各領域におけるがん化学療法の中心的な薬剤となっている。しかし一方で激しい副作用があることが知られ、最も深刻な場合は腎不全などの腎臓機能障害を起こすという課題があった。
「NC-6004」調製にあたりナノキャリアは、新規のブロックコポリマーと「シスプラチン」を結合。薬物の徐放性、がん組織への蓄積性、腎毒性の軽減および神経毒性の軽減を実現している。
患者から治験参加への同意を得た上で被験者登録
新規患者登録が再開された「NC-6004」の第3相試験は、同剤および「ゲムシタビン」の併用療法と、「ゲムシタビン」単独療法の比較を行うもの。各医療機関において、対象となる患者から治験参加への同意を得た上で、被験者登録が行われるという。
なお同試験の終了見込み時期についてナノキャリアは、登録スピードなどの状況を考慮して上で見直す予定としている。
(画像はナノキャリアの公式ホームページより)

NC-6004の膵がんを対象とした第3相臨床試験 新規患者登録再開のお知らせ - ナノキャリア株式会社
http://pdf.irpocket.com/C4571/xOcR/yxW1/Gip3.pdf