ヘテロ原子と触媒との相互作用で極性基の導入が容易に
理化学研究所は2017年7月22日のプレスリリースで、希土類金属触媒を用いて金属イオンとヘテロ原子との特異な相互作用を活用することにより、ヘテロ原子を含むα-オレフィンとエチレンとの共重合を任意の混合比で実現し、さまざまなヘテロ原子を含む機能性ポリオレフィンの合成に成功したと発表した。
今回の成果は、理化学研究所環境資源科学研究センター先進機能触媒研究グループの侯召民グループディレクター(侯有機金属化学研究室主任研究員)、王春翔基礎科学特別研究員、羅根特別研究員、西浦正芳専任研究員(侯有機金属化学研究室専任研究員)らの国際共同研究チームが発表した。
従来の認識を覆す成果
原子結合間での電荷分布の偏りを極性と呼び、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンにはその極性ユニットがなく、極性基を含むポリマー材料やガラス繊維などとの親和性が低くなるため、材料の混合利用が難しい問題がある。
国際共同研究チームは、従来の認識を覆す第3族の希土類金属がヘテロ原子に対し特異な親和力を持つことに着目、希土類に属するスカンジウムやイットリウムなどとヘテロ原子との特異な相互作用を生かした触媒設計や分子設計を実施したことが、今回の成果につながった。
この研究成果は、極性モノマーと非極性モノマーの共重合触媒の設計・開発に新しい指針を与えるもので、得られたポリマー材料は、少量の添加で効果を発揮する環境調和型のポリオレフィン改質剤としての用途展開が可能になるなど、今後さまざまな利用形態での応用が期待できる。
(画像はプレスリリースより)

理化学研究所プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170722_1/理化学研究所
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