新潟大学とロート製薬が開始
国立大学法人新潟大学とロート製薬株式会社は、7月27日、他家脂肪組織由来幹細胞製剤「ADR-001」の治験を開始したと発表した。
同治験は、肝硬変を対象として実施されるもの。治験責任医師は、新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野・寺井崇二教授が務める。
新たな治療方法の開発が望まれていた
肝硬変は、肝臓の組織が炎症を繰り返すことによって、線維化し硬化する疾患。肝臓がんが発生する危険性が高まることでも知られる。
肝硬変の病因としては、肝炎ウイルスによるものが多く、特にC型肝炎ウイルス(HCV)による割合が最も多い。慢性C型肝炎が原因で肝硬変になった患者で、その約5%~8%が1年以内にがんを発症するとされる。
進行した肝硬変の治療法としては肝移植があるが、肝硬変そのものを治療する方法はほとんど存在しない。新たな治療方法の開発が望まれていた。
2020年度の承認を目指して
「ADR-001」は、他家脂肪組織由来幹細胞を構成細胞とする細胞製剤。脂肪組織は、組織中に多くの間葉系幹細胞を含み、採取時の侵襲性が比較的低い。また比較的入手が容易であり、他家脂肪細胞による同種移植のため、迅速に提供できるというメリットも持つ。
今回開始された同剤の治験は、新潟大学医歯学総合病院にて実施される。目標症例数は15例で、治験実施予定期間は2017年7月から2018年12月まで。新潟大学とロート製薬は、2020年度の承認を目指して治験を推進するとしている。
(画像はロート製薬の公式ホームページより)

肝硬変を対象とした他家脂肪組織由来幹細胞製剤ADR-001治験開始 - ロート製薬株式会社
http://www.rohto.co.jp/news/release/2017/0727_01/