細胞モデル「リポソーム」に骨格を持たせる
東京農工大学大学院工学研究院先端物理工学部門・柳澤実穂テニュアトラック特任准教授らの研究グループは、6月27日、骨格で支えられた人工細胞の形成に成功したと発表した。
この人工細胞は、人工的に作られた細胞モデル「リポソーム」に骨格を持たせ、現実の細胞並みに硬くすることで、開発が実現したもの。薬用カプセルなどの応用に耐える補強が実現されたと、同研究グループはしている。
刺激に対しても崩壊せず、形を維持
「リポソーム」は、主に脂質からなる人工的な脂質二重膜小胞。基礎研究のみならず、薬用カプセルなどにおいても既に応用されている。しかし、細胞骨格のような構造が無いため、わずかな刺激により壊れてしまうという問題があった。
同研究グループは今回、DNAナノテクノロジーと呼ばれる技術によって人工的な細胞骨格を作製し、「リポソーム」へ付与。人工細胞骨格を新たに持った「リポソーム」は、骨格を持たない従来の「リポソーム」であれば壊れてしまうような刺激に対しても崩壊せず、その形を維持したという。
多様な機能付与も期待できる
同研究グループが形成した人工細胞骨格は、「リポソーム」の内側に存在するため、外部との接触無しに膜を補強することが可能となる。また、DNAで形成されているため、DNAの化学反応に基づく膜崩壊の誘発と内包物の放出制御など、多様な機能付与が期待できるという。
この成果について同研究グループは、「リポソーム」のカプセルとしての機能強化が見込まれるものであり、薬用カプセルへの応用における最大の課題を克服する可能性にもつながるとしている。
(画像はプレスリリースより)

骨格で支えられた人工細胞の形成に成功 - 東京農工大学
http://www.tuat.ac.jp/