CRISPR/Cas9とアデノ随伴ウイルスベクターを用いて
自治医科大学医学部・大森司教授を中心とする研究グループは、6月23日、CRISPR/Cas9とアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた血友病Bマウスのゲノム編集による治療法を開発したと発表した。
この成果は、先天性出血性疾患である血友病治療に新たな治療法を提供するものであるという。
生後の血友病Bマウスの異常遺伝子修復に成功
血友病は、血液凝固第8因子または第9因子の遺伝子異常による、出血性疾患。出血の予防には、週に1回から3回の血液凝固因子製剤注射が、小児期より必要とされる。
同疾患は、原因遺伝子の修復が可能になれば、小児期からの持続的な治療効果が期待できるようになる。しかし、CRISPR/Cas9の開発によりゲノム編集技術は急速に広がった現状にあっても、生後の特定の臓器を狙ったゲノム編集は難しい。
同研究では、CRISPR/Cas9とAAVベクターを利用した手法により、第9因子が欠損した生後の血友病Bマウスの異常遺伝子修復に挑戦。治療に成功した。
乳幼児期での遺伝子治療を可能にするもの
今回研究グループが開発した手法は、生まれたばかりの血友病Bマウスでも効果が認められた。また、成長と共にAAVベクターの発現が減少しても、ゲノム編集の効果は長期間持続したという。
同研究グループは、この手法が乳幼児期での遺伝子治療を可能にするものであり、さらには他の疾患への応用も可能であるとしている。
(画像はプレスリリースより)

CRISPR/Cas9による血友病治療にマウスで成功 - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2017/5437/