幅広く用いられている光学活性化合物
国立大学法人名古屋工業大学は、6月12日、光学活性なアジリジン化合物の新しい合成法を開発したと発表した。
この成果は、同大大学院工学研究科・中村修一准教授らによるもの。昨今、医薬品などにおいて光学活性化合物は幅広く用いられており、新合成法は医薬品類の開発においてコストダウンにつながる知見だという。
高立体選択的にアジリジンを合成
光学活性化合物は、構造式は同じであっても、原子の立体配置が異なる。立体配置が異なると、生体への作用も大きく異なる。そのため、有用な物質を選択的に合成できるような手法(不斉合成:高立体選択的合成法)が必要とされる。
中村准教授らは今回、様々な医薬品類の合成原料となり得る光学活性なアジリジン化合物に着目。簡便かつ効率的な合成法として、アジリンに求核性反応剤を反応させ、高立体選択的にアジリジンを合成する手法を考案した。
効率的合成手法開発を期待させる成果
この反応を可能にするために中村准教授らは、不斉触媒を新たに開発。この触媒は、求核反応を加速化させる作用を持つものであり、光学活性なアジリジン化合物の合成を成功へ導いた。
この反応によって合成したアジリジン化合物は、医薬品類の効率的合成手法開発を期待させるものであると、中村准教授らはする。また、このアジリジン化合物を様々な反応剤と反応させることで、より多くの医薬品などへの展開も期待できるという。
(画像はプレスリリースより)

光学活性なアジリジン化合物の新しい合成法を開発 医薬品類の開発におけるコストダウンに期待 - 国立大学法人名古屋工業大学
http://www.nitech.ac.jp/news/press/2017/5766.html