DHAの役割の1部が明らかに
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(以下、国立国際医療研究センター)は6月12日、まだ不明な部分も多いドコサヘキサエン酸(DHA)が、視覚と生殖機能に必須であることが明らかになったと発表した。
DHAは、ヒトの体内で合成できない必須脂肪酸の1種で魚に多く含まれ、動脈硬化の予防や脂質代謝異常の改善に効果があることが知られており、血中だけではなく、細胞を覆う膜の主成分の1つ、DHA含有リン脂質にも含まれ、網膜や精巣、また脳に多く存在している。
視覚機能や雄性不妊の創薬開発に可能性
今回、国立国際医療研究センターは、DHAにどのような働きがあるのかをDHA含有リン脂質生合成酵素(LPAAT3)の遺伝子欠損マウスを使った研究を実施。
その結果、LPAAT3欠損マウスは通常のマウスと比較して、網膜と精巣にDHA含有リン脂質が顕著に減少していることが判明したという。
視覚機能解析ではほぼ視力を失っていることや、生殖機能解析では精子の奇形率が90%で人工受精率での受精が0%であったことなどから、DHA含有リン脂質にあるDHAが少なくとも、網膜と精巣に必須であることが明らかになったとしている。
国立国際医療研究センターは、この結果から、今後、視覚機能や雄性不妊の治療法につながる創薬開発に可能性があるとしている。
(画像は国立研究開発法人 国立国際医療研究センターHPより)

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター トピックス
http://www.ncgm.go.jp/pressrelease/2017/20170612000000.html