医療経済性に優れている可能性
東京大学は、5月25日、腎臓の難病に対する新しい治療薬の費用対効果について、発表を行った。
この成果は、同学大学院医学系研究科・田倉智之特任教授らの研究グループによるもの。難病・ネフローゼ症候群の治療法としての「リツキシマブ」導入は、従来の治療法と比べて医療経済性に優れている可能性があることがわかったという。
有効性が報告されている「リツキシマブ」
ネフローゼ症候群は、腎臓の機能に障害が生じることにより、むくみなどの症状がみられる難病。標準的な治療としては、ステロイド製剤および免疫抑制剤が用いられる。しかしこの治療法では、頻回再発型ネフローゼ症候群やステロイド依存性ネフローゼ症候群となる患者も少なからず存在した。
こうした難治性ステロイド症候群に対して、「リツキシマブ」はその有効性が報告されている。しかし、新しく開発された治療薬は、高額である場合が多い。普及には医療経済的な議論が必要として、同研究グループは今回の研究を開始。ネフローゼ症候群の患者に「リツキシマブ」を投与し、導入前後2年間におけるネフローゼの再発回数および総医療費の比較を行った。
費用対効果の高い治療薬の開発に期待
同研究の結果、ネフローゼの再発回数は減少した。医療費もまた、入院医療費が減ることにより減少。加えて、尿たんぱくの減少と医療費の低下に相関関係があることも、明らかになっている。
こうした結果から同研究グループは、効果や費用の両面において「リツキシマブ」の有用性が示されたと結論。費用対効果の高い治療薬の開発が、社会経済の観点からも促進されることに期待するとしている。
(画像はプレスリリースより)

腎臓の難病に対する新しい治療薬の費用対効果 - 東京大学
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