神経活動の正常化に成功
順天堂大学は、5月26日、パーキンソン病原因遺伝子の異常による神経活動低下の仕組みを解明したと発表した。
この成果は、同大大学院医学研究科・神経学の服部信孝教授、パーキンソン病病態解明研究講座の今居譲先任准教授の研究グループによるもの。シナプス小胞の再生経路の操作により、神経活動の正常化に成功したという。
「Vps35」と「LRRK2」という2つの原因遺伝子
同研究グループは今回、「Vps35」と「LRRK2」という2つのパーキンソン病の原因遺伝子が、協働してシナプス小胞の動態を制御していることを明らかにした。
「Vps35」は、優性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子のひとつ。この遺伝子から作られるタンパク質は、細胞内での物質輸送に関わるが、その働きの減少がアルツハイマー病のリスクになるという報告も存在する。
「LRRK2」も、優性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子のひとつ。この遺伝子から作られるタンパク質はタンパク質リン酸化酵素であり、細胞内での物質の輸送に関わっている。
今後の予防・治療法開発にも役立つ成果
同研究グループは、「Vps35」と「LRRK2」がシナプス機能を調節することと共に、シナプス小胞の再生の調節により神経機能異常の改善が可能なことを、パーキンソン病モデル動物で示した。この成果は、パーキンソン病の発病メカニズムの一端を明らかにし、今後の予防・治療法開発にも役立つものだという。
なおこの研究内容は、英国科学誌『Human Molecular Genetics』早期公開版として、本年5月8日付けで公表されている。
(画像はプレスリリースより)

パーキンソン病原因遺伝子の異常による神経活動低下の仕組みを解明 - 順天堂大学
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