新たな膵がん治療法となる可能性につながる知見
九州大学は、5月29日、オートファジーが膵がんを支える細胞の活性化に関与していることを発見したと発表した。
この成果は、同学学大学院医学研究院・中村雅史教授、同学病院・仲田興平助教、同学大学院3年生・遠藤翔氏らの研究グループによるもの。新たな膵がん治療法となる可能性につながる知見だという。
膵がんの悪性化に重要な膵星細胞
がん組織の中には、線維芽細胞を中心とした「間質」と呼ばれる構造が、がん細胞の他に存在する。この「間質」に存在する細胞が、「がん間質相互作用」としてがん細胞の転移・浸潤を促していると考えられている。
膵がんにおいて「がん間質相互作用」の中心は、膵星細胞と呼ばれる細胞が担う。中村教授らは、この膵星細胞が膵がんの悪性化に重要であると考え、その活性化に関する研究を実施。膵星細胞のオートファジーを抑制することで、膵星細胞から分泌されるIL-6やコラーゲンの産生が抑制され、その結果として膵がん細胞の転移や浸潤が抑制されることを明らかにした。
大きな注目を集めているオートファジー
同研究グループはまた、膵がん細胞と膵星細胞を移植したマウスにオートファジー抑制剤クロロキンを投与し、がん細胞の肝転移や腹膜播種が抑制されることも確認している。
オートファジーは、細胞が自己成分を分解するシステムのひとつ。老化や免疫、また発がんや糖尿病など様々な疾患への関与も報告され、大きな注目を集めている。
(画像はプレスリリースより)

オートファジーが膵癌を支える細胞の活性化に関与している事を発見 全く新しい膵がん治療法の開発に期待 - 九州大学
http://www.med.kyushu-u.ac.jp/