悪性黒色腫を対象とした臨床試験
タカラバイオ株式会社は、5月29日、悪性黒色腫を対象とした腫瘍溶解性ウイルス「HF10」の第2相臨床試験において、1例目への投与を開始したと発表した。
同試験は、根治切除不能または転移性悪性黒色腫を対象として、「HF10」と「イピリムマブ」を併用投与した際の有効性・安全性などの評価を行うもの。投与は、5月26日に行われている。
がん細胞を破壊する腫瘍溶解性ウイルス
腫瘍溶解性ウイルスは、正常な細胞内ではほとんど増殖しないが、がん細胞内においては特異的に増殖するウイルス。増殖による直接的ながん細胞破壊効果に加えて、破壊されたがん細胞の断片ががんに対する宿主の免疫を活性化するなど、投与部位以外のがん縮小についても期待されている。
「HF10」は、唇にできる口唇ヘルペスなどの原因となる単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の、自然変異弱毒化株。がん局所に注入することで顕著な抗腫瘍作用を示す、腫瘍溶解性ウイルスとなっている。
早期承認を目指し、臨床開発を推進
悪性黒色腫は、皮膚に発生するがんの一種であり、悪性度が非常に高い疾患。メラニン色素を産生する皮膚の細胞であるメラノサイト、あるいは母斑細胞(ほくろの細胞)が悪性化した腫瘍と考えられている。
タカラバイオは今後も、「HF10」によるがん治療の早期承認を目指し、引き続き臨床開発を推進するとしている。
(画像はタカラバイオの公式ホームページより)

腫瘍溶解性ウイルスHF10の国内第2相臨床試験において第1例目への投与を開始 - タカラバイオ株式会社
http://www.takara-bio.co.jp/release/?p=4203