アルコール依存症治療に新たな選択肢となるか
2013年10月31日、大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表:岩本 太郎、以下大塚製薬)は、アルコール依存症における減酒薬「nalmefene(ナルメフェン)」を、H・ルンドベックA/S(本社:デンマーク・コペンハーゲン、CEO:ウルフ・ウインバーグ、以下ルンドベック社)と、日本国内での共同開発、および商業化することについて合意したと発表した。
「ナルメフェン」は、中枢神経系に存在するオピオイド受容体に作用し、飲酒における欲求を抑制する頓用薬で、これまで同社のグローバル中枢薬事業の提携先であるルンドベック社が開発を進めてきた経緯がある。
また、「ナルメフェン」はすでに欧州17ヵ国において「セリンクロ」の製品名で、2013年4月より販売されており、今回の合意表明によって、国内での依存症治療に新たな選択肢をもたらす新薬候補として期待されている。
患者数80万人のうち、実際に治療している患者は2割
患者数が80万人と推測されるアルコール依存症。しかし、その一方で、治療を受けている患者は4万人に過ぎないという。
これまで、アルコール依存症患者に対する主な治療は、入院や抗酒薬による「断酒」療法がメインであり、その治癒完了におけるハードルの高さが障害となっていた。また、疾患に対する認識不足もあることから、治療の継続を困難に思う患者も多く、それらが治療行為自体を避けてしまう要因の一つであったと考えられる。
一方、大塚製薬とルンドベック社が開発・商業化を目指す「ナルメフェン」は、「減酒」が治療のコンセプトとなっているため、患者自らが、飲酒の欲求を適度にコントロールできるという。取り組みやすい新たな治療選択肢として、アルコール依存症患者や、また、治療を受けていない潜在的な依存症患者の社会復帰にも大きく貢献できると期待されている。
大塚製薬は、共同開発による契約一時金として65億円、さらに開発・承認ならびに売り上げ達成金を加えた130億円をルンドベック社に支払う。また、ルンドベック社は、日本での開発費を負担し、共同販促の権利を有するほか、日本向けの錠剤バルク生産を担当する。
「ナルメフェン」の国内における臨床第III相試験は、2014年に開始する見通しだ。

「大塚製薬株式会社 ニュースリリース」
http://www.otsuka.co.jp/