医薬品のスクリーニングや基礎研究にも応用
株式会社IDファーマは、5月22日、多能性幹細胞から褐色脂肪細胞を製造する技術について、オーストラリアにおいて特許査定を受けたと発表した。
褐色脂肪細胞は、再生医療等製品として直接ヒトに移植することに加えて、医薬品のスクリーニングや基礎研究にも応用できると考えられている細胞。
多能性幹細胞を褐色脂肪細胞へ分化
ヒト褐色脂肪細胞の検体採取はこれまで、様々な理由から非常に困難であり、研究・開発の妨げになっていた。
IDファーマが開発した褐色脂肪細胞の製造技術は、iPS細胞などの多能性幹細胞を試験管の中で褐色脂肪細胞へ分化させるというもの。この技術を用いれば、ヒト褐色脂肪細胞を大量に作り出すことが可能になるという。
この技術で用いられるサイトカインという機能的なタンパク質は、細胞外で細胞表面の各サイトカインの受容体に対して作用する。そのため、遺伝子やその遺伝子を運ぶベクターを細胞内へ導入する必要がない。培養液中のサイトカインのみで、簡便に多能性幹細胞から褐色脂肪細胞を誘導できることを特長としている。
創薬のために褐色脂肪細胞を大量作製
創薬や再生医療のために褐色脂肪細胞を大量に作製することができる同技術について、IDファーマは、現状における研究・開発の課題を克服するものと自負。また、褐色脂肪細胞の分化に用いるヒトiPS細胞も、同社のiPS細胞作製技術を用いて作製したものが好適に使用できるとしている。
同社は今後も、今回取得した特許の事業化に向け、研究・開発を推進するとしている。
(画像はIDファーマの公式ホームページより)

多能性幹細胞から褐色脂肪細胞を製造する技術のオーストラリアにおける特許査定のお知らせ - 株式会社アイロムグループ
http://www.iromgroup.co.jp/