緑茶カテキンの1種ががん幹細胞を抑制
九州大学は5月16日、同学大学院農学研究院の立花主幹教授らの研究グループと、東京工業大学の田中准教授の研究グループが共同で行っていた膵臓がんの機能を阻害する化合物を発見したことを発表した。
研究によれば、がん細胞に緑茶カテキンの1種であるEGCGと、細胞内で様々な酵素の活性を調節する働きを持つcGMPという分子を分解する酵素PDE3の阻害剤を膵臓がんに作用させたところ、がん幹細胞性の指標として用いられているスフェロイド形成能が抑制されたことが明らかとなったいう。
現治療薬よりも強力な効果が期待
同研究グループは、先行研究によってcGMPが、膵臓がんのがん幹細胞機能に重要な役割があることがわかっていたため、EGCGの膵臓がん幹細胞機能の阻害効果を検討したが、その効果は弱かった。
しかし、腫瘍組織でcGMPの分解酵素PDE3が、正常な組織と比較して高発現していることが認められため、膵臓がん細胞株を移植したマウスにEGCGとPDE3阻害剤を投与したところ、腫瘍の成長が劇的に抑制。
その作用の力は膵臓がんの治療薬ゲムシタビンよりも強力であることが認められたという。また、この併用が、膵臓がんの肝臓がんへの転移も抑制したこともわかった。
膵臓がんは、5年生存率の低い治療困難ながんとして知られ、現在に至るまでがん細胞を阻害する治療法は確立していない。
同研究グループは、新たな膵臓がんの治療薬の開発につながる可能性があるとしている。
(画像は国立大学法人九州大学HPより)

国立大学法人九州大学 プレスリリース
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