標準療法不応膵がんに対する治験
和歌山県立医科大学は、5月12日、標準療法不応膵がんに対する樹状細胞ワクチン「TLP0-001」の医師主導治験において、治験製品の投与を開始したと発表した。
この発表を行ったのは、同学外科学第2講座の山上裕機教授を中心とする研究チーム。同研究チームは、2017年3月より同治験を開始している。
より効果的な治療法が待ち望まれていた
日本における膵がんの死亡数は、年間約31000人に達する。多くの患者は、診断の時点で既に高度進行の切除不能になっており、予後は不良の場合が多い。標準療法不応の進行膵がんの治療法は未だ確立されておらず、より効果的な治療法が待ち望まれていた。
「TLP0-001」は、患者より得られた血球を用いて樹状細胞を培養誘導し、その樹状細胞を加工することで製造されたワクチン。樹状細胞には、がん細胞を選択的に攻撃するT細胞を活性化させる作用を持つ。「TLP0-001」は、T細胞を効率よく増殖活性化するよう設計されている。
開発するエビデンスを2022年までに構築
今回開始された治験は、標準療法不応膵がんに対する樹状細胞ワクチンの安全性と有効性を検討する、二重盲検ランダム化比較第3相医師主導治験。和歌山県立医大にて治験製品投与の安全性を確認した後、全国の多施設共同で185人の患者を対象として有効性を検証するという。
同研究チームは、標準療法不応膵がんに対する新規治療製品として樹状細胞ワクチンを開発するエビデンスを、2022年までに構築するとしている。
(画像は和歌山県立医科大学の公式ホームページより)

標準療法不応膵がんに対する樹状細胞ワクチン(TLP0-001) の医師主導治験における治験製品投与開始 - 和歌山県立医科大学
http://www.wakayama-med.ac.jp/intro/press/201705/170512.pdf