効果的ながん治療の実現を目指す
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構は、4月26日、「みる」と「なおす」という2つの機能を持つナノ薬剤送達治療システムを開発したと発表した。
この開発は、同機構の青木伊知男チームリーダーと國領大介研究員(現・神戸大学)らが、大阪府立大学・河野健司教授らと共同で行ったもの。効果的ながん治療の実現を目指す重要な一歩になる成果だという。
がんに集まり、がんを診て、がんを治療する
ナノサイズの粒子に薬剤を封入して患部に集中させる「ナノ薬剤送達治療」は、抗がん剤治療の副作用軽減などのため、盛んに研究されている。しかしこの治療は、ナノ粒子ががん全体に行き渡らず、がん種や状態によって効果に大きな差が生じる場合があった。
そこで同機構の研究チームは、多機能のがん造影・治療リポソームを用いたナノ薬剤送達治療システムを開発。このリポソームは、がんに集まり、がんを診ることができ、がんを治療することができるというもの。
臨床研究へとステップを進める
同システムのリポソームの内部には、抗がん剤と造影剤が封入されている。表面には、がんに集積する能力を高めるポリエチレングリコールと、41度以上になると性質が変化する温度応答性ポリマーを付加。投与後、システムが生体内で動作する様子を可視化することに成功している。
同研究チームは今後、効果的なナノ粒子の開発・改良を行い、臨床研究へとステップを進めたいとしている。
(画像はプレスリリースより)

「みる」と「なおす」2つの機能をもつナノ薬剤送達治療システムを開発 - 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
http://www.qst.go.jp/topics/itemid034-002170.html