治療貢献が期待される知見
岩手医科大学 いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)と東北大学 東北メディカル・メガバンク機構、そして日本医療研究開発機構は、4月21日、DNAメチル化の網羅的解析によってエピゲノム多様性を解読したと発表した。
この研究を行ったのは、IMM生体情報解析部門の清水厚志特命教授、八谷剛史特命准教授を中心とした研究チーム。生活習慣病・がん・うつなどの治療貢献が期待される知見だという。
近年注目されている「エピゲノム」
近年、遺伝子の配列を変えずに化学修飾によって働きを制御する「エピゲノム」が注目されている。そして、「エピゲノム」の一つであるDNAメチル化は、喫煙・飲酒・ストレスなどの環境要因によって異常が生じ、生活習慣病・がん・うつといった疾患の誘因となることが明らかになってきた。
同研究チームは、これら疾患とDNAメチル化との関連性を明らかにすべく、約100名から血液提供を受け、2種類の血液細胞から2400万か所のDNAメチル化状態を測定。細胞ごとの個人間の違い(エピゲノム多型)を明らかにした。
疾患発症機序の解明や発症予測の精度向上へ
続いて同研究チームは、DNAメチル化の個人差が特に大きい部位(CDMV)と、統合失調症や2型糖尿病など既知のエピゲノム疾患マーカーとの関連性について調査。結果、従来の研究対象部位よりもCDMVの方が、疾患マーカーとの関連が大きいことを明らかにした。
同研究チームは今後この知見を、疾患発症機序の解明や発症予測の精度向上につなげたいとしている。
(画像はプレスリリースより)

DNAメチル化の網羅的解析によってエピゲノム多様性を解読―個別化予防・個別化医療に貢献可能― - 日本医療研究開発機構
http://www.amed.go.jp/news/release_20170421-02.html