ATP合成酵素を特異的に阻害
ヤンセンファーマ株式会社(以下「ヤンセン」)は4月25日、多剤耐性肺結核を適応症として、ベダキリンフマル酸塩(以下「ベダキリン」)の製造販売承認申請を行ったと発表した。
「ベダキリン」は、ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社が創製したジアリルキノリン系の新規抗結核薬。海外販売名「SIRTURO(R)」として、2012年に米国で、2014年には欧州で承認されて以降、現在は多剤耐性肺結核に対する多剤併用療法の1剤として、世界40ヵ国以上で承認されている。
既存の抗結核薬とは異なる作用機序を有する同剤は、結核菌のエネルギー生成に必須であるアデノシン5'-三リン酸(ATP)合成酵素を特異的に阻害し、増殖期・休眠期いずれの状態の結核菌に対しても、強い殺菌活性を示す。
多剤耐性結核の新たな治療薬として
結核は世界の10大死亡原因の1つとされ、世界保健機関(WHO)のレポートによると、2015年には世界で1,040万人が新規に結核を発症し、180万人が結核により死亡している。
特に、多剤耐性結核は一般的な結核に比べて治癒率が低い上に再発の可能性が高い。さらに、長期間の治療を要するため、患者本人の心身の負担に加えて、周囲への感染など社会に影響を与える疾患である。
ヤンセンは、日本においても依然治療選択肢が限られている多剤耐性結核について、「ベタキリン」を多剤療法の新たな治療薬として日本でも提供することにより、患者のQOL向上に尽力していくとしている。
(画像はヤンセンファーマ株式会社ホームページより)

ヤンセンファーマ株式会社 ニュースリリース
http://www.janssen.com/japan/press-release/20170425