先駆け指定制度薬事承認第一号
熊本大学医学部の研究グループは12月18日、他の大学病院の協力を得て、内転型けいれん性発声障害の治療用医療機器「チタンブリッジ」が、12月15日先駆け指定制度薬事承認第一号として薬事承認を取得した、と発表した。
チタンブリッジはチタン製蝶番型プレート
内転型けいれん性発声障害は、喉頭内部の声帯がヒトの意識とは関係なく収縮することで、発声時に声帯が閉じてしまう、原因不明の難治性疾患である。
従来の治療法は、ボツリヌス毒素の注射であるが、効果が平均2、3が月しか継続しない、という問題があった。
チタンブリッジは、発声時に声帯が強く内側に閉じて内転しても声門が閉まらず、甲状軟骨が開いたまま保持するブリッジ部と甲状軟骨に縫合して固定する羽部、から構成されるチタン製蝶番型プレートである。
このチタンブリッジを用いた「甲状軟骨形成術2型」は、京都大学一色名誉教授により開発された手術法で、半永久的な効果が期待できる。
内転型けいれん性発声障害患者17例について、「甲状軟骨形成術2型」を施術したところ、声の障害の程度を測定するVHI-10スコアが、術前平均値28.2が術後1年経過時で4.9となり、大きな改善が認められた。
チタンブリッジの医療機器としての実用化に向け、2015年8月より熊本大学医学部附属病院等による多施設共同医師主導治験を実施した。
患者21例の52週間にわたる観察期間で、明確な発声障害の改善が認められ、重篤な有害事象・不具合の発現はなく、2017年7月治験を終了した。
2016年2月医療機器として先駆け審査指定制度審査対象品目第一号に指定され、2017年6月医師主導治験の結果により企業による薬事申請を行った結果、甲状軟骨固定用器具「チタンブリッジ」として、平成29年12月15日薬事承認を取得した。
チタンブリッジは、先駆け審査指定制度における第一号の承認品目、とのこと。
(画像はプレスリリースより)

熊本大学のニュースリリース
http://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/seimei/20171218別掲
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