プラズマ活性乳酸リンゲル液が、新たな治療戦略に
名古屋大学は、11月21日、プラズマ活性乳酸リンゲル液が、膵がん腹膜播種治療の新たな治療戦略となる可能性があることを明らかにしたと発表した。
この成果は、同大大学院医学系研究科消化器外科学・山田豪講師らのグループが、同大学医学部附属病院先端医療臨床研究支援センター・水野正明病院教授らと実施した共同研究によるもの。
難治性であり続けている疾患・膵がん
膵がんは、近年患者が増加しているものの、難治性であり続けている疾患。遠隔転移の一つである腹膜播種は、制御困難であるのみならず消化管閉塞や腹水なども引き起こすため、患者の生活の質を著しく低下させる。
名古屋大学医学部附属病院でも、腹膜播種に対しては全身化学療法や抗がん剤の腹腔内投与などを実施。しかし、効果的な治療戦略の確立には至っていなかった。
そこで同大は、がん治療への応用が近年盛んに研究されている大気圧プラズマに注目。同研究グループも、プラズマを照射した培養液が膵がんや胃がんに対して抗腫瘍効果があることを、既に報告していた。
腹膜播種の形成が抑制されることも示唆
今回の研究において同研究グループは、日常の診療で使用されている乳酸リンゲル液にプラズマを照射した「プラズマ活性乳酸リンゲル液」を作成し、その効果を検証。結果、膵がん細胞株に対する抗腫瘍効果が明らかとなり、マウスの膵がん腹膜播種モデルでは腹膜播種の形成が抑制されることも示唆された。
これらの結果は、プラズマ治療の臨床応用への大きな一歩であり、膵がんに対する新たな治療戦略となることが期待できるものであると、同研究グループはしている。
(画像は名古屋大学医学部の公式ホームページより)

膵癌腹膜播種に対するプラズマ治療の可能性 プラズマ活性溶液を用いた新規治療法の開発 - 名古屋大学
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/