農業・食品産業技術総合研究機構、すなわち農研機構
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」)は、11月24日、抗体活性を持つシルクタンパク質素材を開発したと発表した。
この成果は、がんなどの疾病診断キットの低価格化に期待が持てるものだという。
がんの腫瘍マーカーであるCEAを高感度で検出
生体内に侵入した異物に対して働く抗体は、特定の種類のタンパク質などに結合する性質を持つ。そのため、基礎研究から医療に至る幅広い分野において、利用されている。しかし、その製造コストの高さが課題となっていた。
そこで農研機構の生物機能利用研究部門は、低コストかつ優れたタンパク質生産系である遺伝子組換えカイコを用いて、抗体として働く性質を持つシルクタンパク質素材の生産技術開発を行った。開発には、シルクタンパク質水溶液をコーティングした検査用資材「ELISAプレート」を活用。結果、胃がんや大腸がんなど消化器系のがんの腫瘍マーカーであるCEAを高感度で検出することに成功した。
繭1個から「ELISAプレート」は20枚以上作製
遺伝子組換えカイコが産生した繭1個から「ELISAプレート」は20枚以上作製することが可能だという。安価に疾病診断キットを提供できる可能性があると、農研機構はしている。また、パウダーやフィルムに加工した「アフィニティーシルク」が、抗原特異的な結合活性を示すことも、同機構は確認したという。
農研機構は今後、がんなどの疾病マーカー以外にも、ウイルスや細菌といった病原体を標的とする「アフィニティーシルク」の開発を企図。製品化に向けた研究も、企業などと協力して進めるとしている。
(画像はプレスリリースより)

抗体活性をもつシルクタンパク質素材を開発 - 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
http://www.naro.affrc.go.jp/