薬物の重大な副作用、致死性不整脈
東邦大学は、11月28日、薬物の重大な副作用として知られる致死性不整脈を検出する新しいモデルを開発したと発表した。
この成果は、同大医学部薬理学講座の長澤美帆子助教と同薬学部薬物治療学研究室の高原章教授らの研究グループによるもの。より安全な薬の研究開発に貢献することが期待できる成果だという。
発生回避が最重要課題
薬物性不整脈は、非循環器官用薬の場合は1万から10万人に1人と、発生頻度こそ低い。しかし致死的であるため、医薬品開発においてはその発生回避が最重要課題となっている。
長澤助教ら研究グループは今回、薬物性不整脈の発生リスクが低心拍数の場合に高くなることに注目した。カテーテル焼灼法による心臓内伝導路の破壊後にペースメーカーを使用することで、ウサギの心拍数を60回/分に減少させる方法を確立。このモデル動物に、不整脈誘発作用が臨床報告されている薬物を投与し、高い再現性で致死性不整脈を検出することに成功している。
幅広いタイプの薬物の検討が可能
これまで欧州などの製薬会社で広く使用されてきた不整脈検出モデルは、薬物相互作用による偽陰性が大きな課題だった。しかし同研究グループが今回作製した新規不整脈モデルは、薬物相互作用などの問題が完全に解決されており、幅広いタイプの薬物の検討が可能となっている。
今後の新薬創出において、この研究成果の利用価値は高いと同グループはしている。
(画像は東邦大学の公式ホームページより)

薬物により誘発される致死性不整脈の新規検出モデルの開発 - 東邦大学
http://www.toho-u.ac.jp/press/2017_index/20171128-843.html