活性酸素除去タンパク質マイクロマシン
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は11月17日、バイオメディカル研究部門の研究グループが、3種類のタンパク質だけからなる活性酸素を除去できる高機能なタンパク質マイクロマシンを開発した、と発表した。
研究成果は、2017年11月16日(現地時間)学術誌「Biomaterials」にオンライン掲載される、とのこと。
SOD、血清アルブミン、抗体からなるマイクロマシン
ナノ・マイクロメートルスケールのナノ・マイクロマシンは、血管や臓器の中で作用し、病気診断・病変部薬投与・有害物質除去などの新たな治療法として、期待されている。
産総研は、体内で過剰に発生しいろいろな病気を引き起こす活性酸素を除去する、活性酸素除去機能を備えたマイクロマシンを、タンパク質だけで作製した。
開発したタンパク質マイクロマシンは、活性酸素を除去するタンパク質スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、さまざまな薬剤と結合するタンパク質血清アルブミン、表面に標的となる細胞を捕捉するタンパク質抗体、の異なる機能を持つ3種類のタンパク質を組み合わせて作製された。
表面の抗体が活性酸素を分泌する細胞を捕捉し、内部のSODが過剰な活性酸素を除去する。また、マイクロマシン本体に結合した抗炎症薬を放出することにより、細胞の活性酸素生成を抑制できる。
タンパク質マイクロマシンは、天然素材で安全性が高く、高機能な医療用デバイスである。
今後、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性疾患の治療用に、炎症性サイトカインに結合する抗体などを組み込んだタンパク質マイクロマシンを開発する、という。
(画像はプレスリリースより)

国立研究開発法人産業技術総合研究所のニュースリリース
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