CD30を標的とする抗体薬物複合体
武田薬品工業株式会社は、11月15日、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」のCD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)に対する効能追加に関して、欧州医薬品評価委員会(CHMP)が承認推奨の見解を示したと発表した。
「アドセトリス」は、CTCL患者の約半数において皮膚病変の腫瘍に発現するCD30を標的とする、抗体薬物複合体。同剤は現在、CTCLの治療薬としては承認されていない。
最もよく見られる皮膚悪性リンパ腫
リンパ腫はリンパ系に由来するがんの総称であり、CTCLは最もよく見られる皮膚悪性リンパ腫。通常は、うろこ状の紅班あるいは湿疹や慢性皮膚炎にしばしば類似した皮膚の肥厚が認められる。皮膚腫瘍形成・潰瘍化・剥離が起こる場合もあり、かゆみや感染によって複雑化する。
同疾患の標準治療は、皮膚への局所療法、放射線療法、全身療法、あるいはそれらが併用され行われる。現在承認されている全身療法の客観的奏効率は30%~45%であり、完全寛解率は低い。
今後、欧州委員会が審査する予定
CHMPが今回「アドセトリス」に対して示した肯定的見解は、CD30陽性CTCL患者を対象に実施された同剤の臨床第3相試験の結果に基づくもの。同試験では、同疾患の標準治療である「メトトレキサート」あるいは「ベキサロテン」を投与した対照群と、「アドセトリス」単独投与群の効果を比較。「アドセトリス」投与群は持続的な客観的奏効率について、対照群より統計学的に有意な改善を示したという。
効能追加に関するこのCHMPの肯定的見解は、今後、欧州委員会が審査する予定。
(画像は武田薬品の公式ホームページより)

「アドセトリス」のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫に対するCHMPからの承認推奨の見解について - 武田薬品工業株式会社
http://www.takeda.co.jp/news/2017/20171115_7876.html