うつ病バイオマーカーの測定用酵素の量産技術を確立
東洋紡株式会社とヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(HMT)は10月19日、うつ病関連バイオマーカーの測定に使用される酵素の量産技術を確立した、と発表した。
リン酸エタノールアミンはうつ病バイオマーカーとして有用
うつ病は、主にストレスを要因として、憂うつな気分が長く続き、食欲・性欲・睡眠欲などの質の低下により日常生活、社会生活に支障をきたす精神障害である。
2015年のWHO調べによれば、うつ病の患者数は全世界で3億2,200万人にのぼる。また2011年の学校法人慶応義塾の報告書「精神疾患の社会的コストの推計」によれば、うつ病による国内の経済損失額は、年間約3兆円と推定されている。
うつ病の診断は、うつ病の症状チェックシートや専門医による問診が中心だが、精度の高い診断は困難である。そのため、患者への負荷が少ない、臨床検査マーカーが求められている。
HMTは、医療法人社団行基会川村総合診療院との共同研究により、リン酸エタノールアミン(PEA)の血中濃度がうつ病患者で著しく低下していることを見出した。また、PEA血中濃度は症状に相関して変動するため、PEAはうつ病のバイオマーカーとしての有用性を示唆している。
HMTは、PEA血中濃度を汎用の分析機器でも測定できる、酵素を利用した研究用試薬キットを開発し、製造・販売を行う。
東洋紡は、HMTとの共同研究により、キットで使用する酵素の量産技術を確立し、2017年11月より酵素をHMTに継続的に提供するという。
(画像はプレスリリースより)

東洋紡株式会社のニュースリリース
http://www.toyobo.co.jp/news/2017/release_8230.html別掲
http://www.toyobo.co.jp/news/pdf/2017/10/press684.pdf