衛生化学教室・新井洋由教授らによる成果
東京大学大学院薬学系研究科・薬学部は、10月10日、オメガ3脂肪酸を動かしてアレルギーを促す酵素を発見したと発表した。
この成果は、同学部衛生化学教室・新井洋由教授らによるもの。全く新しい抗アレルギー薬の創生が期待できる成果だという。
アレルギーの中心的役割を担う、マスト細胞
新井教授らは今回、PAF-AH2という酵素によって産生される酸化オメガ3脂肪酸(エポキシ化オメガ3脂肪酸)を介して、マスト細胞が自身の活性化を促進しアレルギー反応を促すことを、世界で初めて明らかにした。
マスト細胞は、アレルギーの中心的役割を担う細胞。アレルゲンと出会うことで活性化し、蓄えられたヒスタミンなどの化学伝達物質を放出する。この放出が、痒み・気道収縮・血管拡張による体温低下などを引き起こす。この現象はアナフィラキシーといわれ、死に至る場合さえある。
PAF-AH2の阻害を分子基盤にした薬
新井教授らは、PAF-AH2の阻害剤をマウスに投与することにより、アナフィラキシー反応を大きく抑えることにも成功。PAF-AH2の阻害剤は、ヒト由来のマスト細胞に対しても同様の効果があったという。
今回の研究成果をもとに、PAF-AH2の阻害を分子基盤にした全く新しい抗アレルギー薬の創生が期待できると、新井教授らはしている。
(画像はプレスリリースより)

オメガ3脂肪酸を動かしてアレルギーを促す酵素を発見 - 東京大学大学院薬学系研究科・薬学部
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/news.html?key=1507625453