『Science Translational Medicine』誌に発表
中外製薬株式会社は、10月5日、バイスペシフィック抗体「ERY974」の非臨床研究の成績が、『Science Translational Medicine』誌の電子版に掲載されたと発表した。
「ERY974」は、中外製薬が創製した抗グリピカン3/CD3バイスペシフィック抗体。『Science Translational Medicine』誌は、『Science』誌の姉妹誌であり、学術誌として世界トップレベルに位置付けられている。
がん細胞を特異的に攻撃し死滅させる
グリピカン3(GPC3)は、様々ながん細胞膜上において高い頻度で発現する膜タンパク質。胎児期では、様々な組織で発現し、重要な働きを担っていると報告されている。しかし、成体の正常組織ではほとんど発現しない。正常細胞のがん化によってその発現が認められるため、GPC3はがんに特異的なタンパク質(がん抗原)であると考えられている。
「ERY974」は、中外製薬の革新的な抗体改変技術を用いたT細胞リダイレクティング抗体であり、がん細胞膜上のGPC3と、T細胞上に発現している膜タンパク質であるCD3の双方に結合する。この結合により、T細胞をがん細胞に誘導すると共にT細胞を活性化させ、隣接するがん細胞を特異的に攻撃し死滅させる。
抗体医薬品のリーディングカンパニーとして
今回成績が発表された研究では、「ERY974」がGPC3依存的にT細胞を活性化させ、GPC3が発現しているがん細胞を死滅させたことなどが示された。これら非臨床研究の成果をもとにして中外製薬は、GPC3陽性患者を対象とした同剤の第1相臨床試験を現在実施している。
同社は今後も、抗体医薬品のリーディングカンパニーとして、世界の医療と人々の健康に貢献するとしている。
(画像は中外製薬の公式ホームページより)

バイスペシフィック抗体ERY974の非臨床研究の成績をScience Translational Medicineに発表 - 中外製薬株式会社
https://www.chugai-pharm.co.jp/