第42回欧州臨床腫瘍学会で、中間結果を発表
第一三共株式会社は、HER2に対する抗体薬物複合体「DS-8201」に関する第1相臨床試験の中間結果を、スペイン・マドリードで開催された第42回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表したと報じた。
日本と米国で実施されている同試験は、複数のHER2発現がん(HER2陽性乳がん、HER2低発現乳がん、HER2陽性胃がん、HER2発現固形がん)患者を対象に、DS-8201の安全性と有効性を評価するもの。
HER2を発現したがん患者168名によるデータ
今回の第1相臨床試験には、HER2を発現したがん患者168名が参加。その中で、グレード3の有害事象として確認されたのは、好中球数減少(14%)、貧血(13%)及び白血球数減少(11%)。
また、グレード4の有害事象としては、血小板数減少(3.0%)、好中球数減少(2.4%)、白血球数減少(1.8%)及び貧血(1.2%)が見られた。
なお安全性については、米国国立がん研究所(NCI)が定めた評価方法である有害事象共通用語規準(CTCAE)により、有害事象の重症度を低い順にグレード1~5に分類して表している。
病勢コントロール率は82%
有効性では、ESMOで新たに発表したHER2発現その他固形がんの患者22名のサブ解析で、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合を示す全奏功率は32%と確定された。
また、全奏功率に腫瘍の安定状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者の割合を加えた病勢コントロール率は82%。大腸がん患者10名中2名、非小細胞肺がん患者5名中1名、唾液腺がん患者4名中3名に、30%以上の腫瘍の減少が見られた。
これらの結果から、HER2発現の様々な固形がんに対する治療効果が期待されるDS-8201。第一三共では、現在、HER2陽性の乳がんを対象とした国際共同第2相臨床試験「DESTINY-Breast01」を進めている。
(画像は第一三共株式会社 ホームページより)

第一三共株式会社 ニュースリリース
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006718.html