悪心・嘔吐を対象とした契約
大日本住友製薬株式会社と丸石製薬株式会社は、9月6日、非臨床段階の開発化合物であるFAAH阻害剤について、ライセンス契約を締結したと発表した。
このライセンス契約は、同剤の日本および米国における悪心・嘔吐を対象とした独占的な開発・製造・販売権などに関するもの。
FAAH、すなわち脂肪酸アミド加水分解酵素
FAAH(脂肪酸アミド加水分解酵素)は、ニューロンに発現し、エンドカンナビノイドの一種であるアナンダミドの主たる加水分解酵素として神経活動において重要な役割を担っている。
FAAH阻害剤は、このFAAHを阻害することで、アナンダミドをはじめとするエンドカンナビノイドの分解を抑制。この抑制によりエンドカンナビノイドは、カンナビノイド受容体の1つであるCB1受容体シグナルを活性化する。CB1受容体シグナルは、制吐・鎮痛・神経保護作用など多面的な作用を示すことが知られており、この活性化により制吐作用が発揮されることが期待されている。
医療に貢献できることを期待
今回ライセンス契約が締結されたFAAH阻害剤は、大日本住友製薬の精神神経領域の創薬活動により見出だされた化合物。同社は、周術期領域において強みを持つ丸石製薬とのライセンス提携により、同剤が制吐剤として開発・上市され、医療に貢献できることを期待しているという。
また丸石製薬は、同剤が周術期領域におけるQOL改善の新たな選択肢となることを期待するとしている。
(画像は大日本住友製薬の公式ホームページより)

制吐剤の候補化合物に関するライセンス契約締結のお知らせ - 大日本住友製薬株式会社
http://www.ds-pharma.co.jp/ir/news/pdf/ne20170906.pdf