異所性石灰化治療のファースト・イン・クラス
第一三共株式会社(以下、第一三共)は、9月7日、TNAP阻害剤 DS-1211について第1相臨床試験を米国で開始したと発表した。これは、健常成人を対象に実施される臨床試験。
DS-1211は、異所性石灰化に対する治療効果が期待されている新たな医薬品で、特に新規性・有用性が高いと認められるファースト・イン・クラス(画期的新薬)の低分子化合物である。
ピロリン酸を増加することで異所性石灰化を抑制
異所性石灰化は、通常の石灰化のように歯や骨などではなく、全身の様々な部位に石灰化が起こる状態。
石灰化制御のバランスが破綻することによりリン酸カルシウムが血管などの不適切な部位に蓄積し、様々な疾患を引き起こす原因となる。
石灰化組織の主成分であるハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの一種)は、ピロリン酸によってその生成が直接阻害される。
TNAPは、体内のピロリン酸を分解する細胞膜結合型酵素であることから、TNAPを阻害することで体内のピロリン酸が増加し、異所性石灰化を抑制することが期待される。
米国SBPとの共同研究により創出
DS-1211は、2014年から開始した、米国フロリダ州のSanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute(以下、SBP)との共同研究により創出された。
第一三共は、同団体のホセ ルイス ミラン教授を中心に行われた、石灰化制御機構の分子・細胞レベルでの解明がDS-1211創出につながったとしている。
(画像は第一三共株式会社 ホームページより)

第一三共株式会社 ニュースリリース
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006711.html