東北大学の研究グループ、c-Myc高発現型卵巣癌治療標的としてFurinを同定
東北大学は1月29日、同大大学院医学系研究科婦人科学分野の八重樫伸生 教授らの研究グループが、c-Myc高発現型卵巣癌に対する治療標的を世界で初めて発見したと発表した。
同研究グループは、卵巣がん細胞株を用いて大規模遺伝子抑制スクリーニングを実施し、c-Myc高発現型卵巣癌と合成致死を示す治療標的分子としてFurinというタンパク質を同定。Furinはc-Myc高発現型卵巣癌に対する有望な治療標的となるとしている。
卵巣癌は腫瘍の性質に合った医療が必要
卵巣癌は初期には自覚症状がなく病状が進行してから発見されることが多いため、悪性腫瘍の中で最も治療後の経過が悪い癌のひとつとされている。
さらに、異なる性質の卵巣癌に対して同じ治療が行われることも予後が悪い理由であると考えられ、腫瘍の性質にあった個別化医療の実現が望まれてきた。
卵巣癌の個別化医療の実現、予後の改善へ
Furinは特定のタンパク質(プロタンパク質)を切断する酵素で、プロタンパク質を不活性型から活性型へと変化させる働きを持つ。
c-Myc高発現型卵巣癌において、 Furinの機能を阻害すると細胞増殖は抑制される。さらに、c-MycとFurinの発現量がどちらも高いと卵巣癌の細胞増殖がより促進されることも明らかになった。
八重樫教授らの研究グループは、同研究の成果が卵巣癌の個別化医療の実現につながる可能性があるとし、さらに、卵巣癌の予後の改善に貢献することが期待できるとしている。
(画像はプレスリリースより)

東北大学 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/