国内患者数が10人程度と推定される難病
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は、2018年1月18日、重度発達障がいをきたす有馬症候群の原因遺伝子を、世界で初めて発見したと発表した。
この成果は、NCNP神経研究所疾病研究第二部・伊藤雅之室長らの研究グループによるもの。有馬症候群は、国内患者数が10人程度と推定されている難病。
1971年に世界で初めて報告した疾患
有馬症候群は、NCNP病院名誉院長の有馬正高氏が、1971年に世界で初めて報告した疾患。乳児期早期より重度精神運動発達遅滞・先天性視覚障がい・嚢胞腎・眼瞼下垂・小脳虫部欠損・下部脳幹形成異常といった症状を呈する。また、進行性の腎障がいを併発し、腎不全のため腎透析ないし腎移植を要する。
同研究グループは今回、厚生労働省と日本医療研究開発機構から支援を受け、有馬症候群の原因遺伝子同定に挑戦。結果、一次繊毛の基底小体を構成するCEP290遺伝子のイントロン17と43の両方、もしくはいずれかの遺伝子変異があることが判明。一次繊毛の構造異常を起こすことを見出した。
発症メカニズム解明に寄与することが期待できる
有馬症候群は、ジュベール症候群関連疾患の重症型と考えられている。これらの疾患は、全て一次繊毛の構造に関与する分子の遺伝子異常に起因する。今回研究における発見は、こうした難病の発症メカニズムの解明に寄与することが期待できるものであると、同研究グループはしている。
なおこの研究成果は、日本の科学誌『Brain and Development』オンライン版に2017年12月4日付けで掲載された。
(画像はプレスリリースより)

有馬症候群の原因遺伝子を世界で初めて発見 - 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター
http://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=392