高コレステロール血症患者の為の治療薬発売
サノフィ株式会社から、2016年9月5日、高コレステロール血症治療剤「プラルエント(R)」が発売された。
「プラルエント(R)」は、PCSK9(プロ蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン 9型)を標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体である。
PCSK9は主に肝細胞より分泌される蛋白質であり、LDL受容体に結合するとPCSK9/LDL受容体複合体となり、健常時ならば再利用されるはずのLDL受容体が再利用されずにリソソームにて分解されてしまう。それによって、肝細胞表面でLDL-Cを代謝するためのLDL受容体数が減少してしまうことが知られている。
脂質治療の新たな治療選択肢
「プラルエント(R)」は、そのPCSK9と結合し、PCSK9のLDL受容体への結合を阻害することによって、LDLーC、いわゆる、悪玉コレステロールを血中から除去するLDL受容体数を増やし、LDLコレステロール値を低下させることに成功したものである。
これにより、心血管イベントの発現リスクが高く、従来の治療に用いられることの多い律速酵素を特異的に抑制しLDL-Cを低下させる役割のあるHMG-CoA還元酵素阻害剤で効果が不十分であった、家族性高コレステロール血症、及び高コレステロール血症に悩む患者に新たな治療選択肢が提示されることとなった。
また、日本人を対象としたODYSSEY JAPAN試験において同剤を用いた場合のLDL-C値は、4週間で141.1mg/dlから54.8mg/dlへの減少が確認されており、その作用は二重盲検期間終了の52週後まで維持され、有意なLDL-C低下が実証されている。
既存の療法を受けていてもLDLコレステロールの管理目標達成が困難である患者や、遺伝的な要因が強く影響している家族性高コレステロール血症患者は日本にも多く存在しているが、「プラルエント(R)」により、脂質治療において新たな治療選択肢が広がることになり多くの期待が寄せられている。

サノフィ株式会社ホームページ
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