筋眼脳病の原因となるタンパク質を解明
東京都健康長寿医療センター研究所は、8月5日、同センターの共同研究グループが筋眼脳病の原因となるタンパク質の機能を解明し、発症機構を明らかにしたと発表した。
筋眼脳病は、先天性筋ジストロフィー症の一種。共同研究グループは、遠藤玉夫副所長、萬谷博研究副部長、高エネルギー加速器研究機構の加藤龍一准教授、桑原直之研究員らにより構成されている。
病態に未だ不明な点が多い筋眼脳病
筋眼脳病は、全身の筋力が低下する筋ジストロフィーに加えて、脳の発達異常を伴うことを特徴とする重篤な遺伝子疾患。日本に多いことで知られる福山型先天性筋ジストロフィー症と同じ症状を呈する類縁疾患であり、病態には未だ不明な点が多く、根本的な治療法は存在しない。
同センターの共同研究グループは以前、筋眼脳病の原因遺伝子POMGNT1を発見。POMGNT1は糖鎖を作る「糖転移酵素」というタンパク質であり、遺伝子変異によりPOMGNT1の酵素活性が失われて糖鎖を作れなくなることが、筋眼脳病の発症要因となると解明している。
しかし筋眼脳病では、POMGNT1の酵素活性でも作ることができない糖鎖まで消滅するため、POMGNT1の機能を解明し、糖鎖異常と病態の関係を明らかにする必要があった。
筋ジス治療に活用されることを期待
共同研究グループは今回、POMGNT1は糖転移酵素と糖結合の2つの機能を持つタンパク質であることを解明。加えて、糖結合機能を使って作る糖鎖と糖転移酵素機能を使って作る糖鎖は異なる構造であることも解明した。
同研究の成果は、同様の糖鎖異常を原因とする先天性筋ジストロフィー症の病態解明や診断・治療法の開発に活用されることが期待されると、同センターはしている。

「筋ジストロフィー症発症の新たな仕組みを発見」 - 東京都健康長寿医療センター研究所
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/release