国際標準化へ期待
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)増殖分化機構研究部門の藤渕航教授らを中心とした国際研究グループが、2016年7月12日(米国東部夏時間)、幹細胞データの項目ガイドライン「MIACARM(Minimum Information About a Cellular Assay for Regenerative Medicine)」を提案、公開した。
現在、世界中の企業や研究所で再生医療研究が進められているが、収集されるデータについて、統一されたフォーマットがなく、世界に20以上存在する細胞バンク間での比較が困難で、保存された細胞が有効活用されていない。
今回発表された「MIACARM」が事実上のスタンダードになり、世界中の再生医療研究機関や細胞バンクが利用していけば、相互検索が可能になり、無駄をなくし、効率化を図ることで、世界的な再生医療の実現化の促進につながると期待されている。
ヒト細胞種のコード化
これまで、細胞の命名法に規定がなく、現状では、同名異種細胞や異名同種細胞が存在している状況である。また、現在の細胞種の判定方法では、似た細胞の判別が困難であり、細胞の普遍的な分類方法が必要とされている。
そこで、同研究グループは、肺葉、分化能、細胞発生時期、解剖学的位置、細胞種の5因子に基づくヒト細胞コードによる細胞種同定方法を開発した。これにより、今までのような細胞名の曖昧性は排除される。
MIACAをベースとしMIACARMを開発
細胞実験データガイドライン「MIACA(Minimum Information About a Cellular Assay)」が2008年に作成されていたが、ヒトの体細胞や最新のシングルセル解析技術に対応したものではなかった。
「MIACARM」では分類するためのモジュール等の情報を増やし、ヒトの体細胞にも対応できるよう、257項目からなる幹細胞データガイドラインへと再編、開発した。

京都大学iPS細胞研究所研究成果
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/日本医療研究開発機構プレスリリース
http://www.amed.go.jp/news/