RIからの放射線でがん組織を攻撃
富士フイルム株式会社は、2016年6月28日、進行性固形がん患者を対象とした抗がん剤「FF‐21101」の米国第1相試験で、同剤の抗体ががん組織に集積することを画像診断で確認したと発表した。
同剤は放射性同位元素(RI)を結合させたArmed抗体を用いた抗がん剤で、「FF‐21101(111In)」を投与した4名中3名で抗体ががん組織に集積し、「FF‐21101(90Y)」を投与した4名中4名に忍容性が確認された。RIから放出される放射線による患部の治療が期待できる。
薬剤評価を継続
抗がん剤「FF‐21101」では、固形がんの細胞表面に多発し、がんの増殖、転移などに関与するタンパク質P‐カドヘリンを標的とした抗体にインジウム‐111(111In)などを結合させた薬剤を投与後、がん組織への抗体の集積度を画像診断で確認する。
さらに、抗体にイットリウム‐90(90Y)を結合させた薬剤を投与する。90Yから放出する放射線で直接がん組織を攻撃するため、P-カドヘリンを標的とした抗体単独の場合と比べて、がん組織に対する薬効に優れる。すでに、マウスモデルではがん組織の大幅な縮小が観察されている。
このたびの臨床第1相試験は2016年1月からMDアンダーソンがんセンターで開始され、現在も継続中である。今後は、より高用量での忍容性評価と複数の進行性固形がんでの有効性評価を行い、臨床第2相試験前期に移行することになる。

富士フイルム株式会社 ニュースリリース
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