プロテアソーム阻害剤「カイプロリス」
小野薬品工業株式会社は、7月4日、プロテアソーム阻害剤「カイプロリス点滴静注用 10mg、40mg」(以下「カイプロリス」)について、再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬としての国内製造販売承認を取得したと発表した。
骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導
多発性骨髄腫は、骨髄中にある形質細胞の異常により引き起こされる血液がん。治療法は複数存在するが、寛解と再発を繰り返し進行する場合や、どの治療法も有効でなくなる難治性の病状に移行する場合が、現在でも少なくない。また、長期的な治療における副作用や合併症も報告されており、新たな治療薬の開発が期待されていた。
「カイプロリス」は、小野薬品が米国Onyx Pharmaceuticals Incより2010年9月に導入した、高い選択性を有するプロテアソーム阻害剤。プロテアソームは細胞内に存在する酵素複合体であり、ポリユビキチン化されたタンパクを分解する作用を有する。この作用により細胞の増殖・分化・機能的細胞死を制御するプロテアソームを、カイプロリスは阻害。骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導する。
希少疾病用医薬品の指定を受けていた
日本において「カイプロリス」は、2015年8月に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を予定される効能・効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けていた。
小野薬品は、同剤が適正かつ有効に使用されるために一層の臨床データの蓄積が重要であると考え、承認条件に従い製造販売承認後の使用成績調査(全例調査)を実施。安全性および有効性に関する臨床データを収集し、同剤の適正使用に必要な措置を講じるとしている。

プロテアソーム阻害剤「カイプロリス」再発または難治性の多発性骨髄腫に対する国内製造販売承認取得 - 小野薬品工業株式会社
http://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n16_0704.pdf