個々の対応調整が重要な疾患
東京大学医学部附属病院(以下、東大病院)、エーザイ株式会社(以下、エーザイ)、株式会社ココカラファイン(以下、ココカラファイン)は、認知症・軽度認知障害の患者とその家族を対象にしたICTコミュニケーションツール「わすれなびと」のパイロットスタディを開始すると2016年6月17日に発表した。
認知症の治療は、患者の症状の変化や対応方法が個々人で異なりマニュアル的に対応できない点、外来受診は間隔が空くため検診結果の伝達、病状や服薬方法の質問をタイムリーに行えない点などの課題がある。
患者や家族には、病態変化を客観的に理解することや介護上の問題点をリアルタイムに専門家に相談することへのニーズがある。
個別化医療の実現を目指す
「わすれなびと」は医師・薬剤師などの医療従事者と患者や家族をネットワークでつなぐICTコミュニケーションツール。
エーザイとココカラファインの監修、株式会社インターネットイニシアティブの協力で、東大病院が医療情報向けクラウドサービス上の電子@連絡帳をベースに認知症患者向けに開発したICTによるコミュニケーション環境である。
「わすれなびと」を利用すると、患者や家族は、東大病院での画像診断、認知機能や血液などの検査結果をタブレット型端末で閲覧でき、外来時間外でもメッセージの送信により主治医や薬剤師との双方向コミュニケーションがとれる。
また、薬剤師による服薬指導を受け、服薬状況を医師と共有できる。タブレット型端末に表示された症状などの質問に患者や家族が回答した情報は記録され、医師が診療時に活用できる。
東大病院、エーザイ、ココカラファインは、参加者50名、1年半のパイロットスタディを実施・検証した後、ICTコミュニケーションツールを最適な治療とケアを提供する個別化医療の実現につなげていく考えである。

エーザイ株式会社 ニュースリリース
http://www.eisai.co.jp/