転移性メルケル細胞がん臨床に新たな可能性
2016年6月6日、米ファイザー社と独メルク社は、現在開発中の完全ヒト型抗体、avelumab(MSB0010718C)に関する、初の多施設共同国際ピボタル第Ⅱ相非盲検試験の結果を発表した。
それによると、転移性メルケル細胞がん患者への二次治療もしくはそれ以降の治療としてavelumabの投与を行い、31.8%の奏効率が認められ、かつ、安全性プロファイルは管理可能であることが明らかになった。
また、患者の76%において、投与開始から7週間以内に腫瘍に対する効果が認められ、かつその効果は持続的で、82.1%の患者で、6ヶ月後も効果が持続していることが確認されている。
avelumabについて
avelumabは、腫瘍細胞表面に発現するPD-L1に特異的に結合することによって、腫瘍細胞がPD-L1を使ってT細胞などの白血球の抗腫瘍作用から逃れることを防ぐと考えられている。また、ナチュラルキラー細胞などの白血球が、腫瘍細胞を発見、攻撃するメカニズムである抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘発すると考えられている。
本試験での薬剤関連有害事象は、70.5%認められた。内容としては、疲労が23.9%と最も多く、続いて、注入に伴う反応が17.0%で、すべてグレード1または2。グレード3の薬剤関連有害事象は4.5%、グレード4の薬剤関連有害事象または死亡例はなかった。
今後の動き
転移性メルケル細胞がんは、予後不良のがんで、5年生存率は20%未満となっている。現在、二次治療として化学療法が考慮される場合もあるが、その奏効率は低く、持続性もない。
同社は今回の試験結果に基づき、規制当局へ販売承認申請を行う予定。特に治療困難ながんに対する治療薬として、今後の研究、開発に期待がかかる。

ファイザー株式会社プレスリリース
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