唯一臨床試験段階にあるノロウイルスワクチン
武田薬品工業株式会社は、6月21日、ノロウイルスワクチン「TAK-214」の臨床第2相後期有効性フィールド試験を開始したと発表した。
「TAK-214」は現在、同社が開発中であり、現時点で唯一臨床試験段階にある薬剤。今回の試験では、ノロウイルスに起因する中等度から重度の急性胃腸炎に対する予防効果が検討される。
低所得国では年間20万人以上が死亡
ノロウイルスは、あらゆる年代で急性胃腸炎を引き起こす主たる原因と認識されているウイルス。水様の下痢・嘔吐・腹痛・吐き気・発熱を特徴とし、臨床的に重篤な脱水症状を引き起こすこともある。
同ウイルスの関連疾患は、世界中で年間約7億人に発症するとされる。その疾病負荷は重大であり、主に低所得国においては年間20万人以上がノロウイルス感染が原因で死亡しているとも推測されている。なお、現在市販されているノロウイルスワクチンは存在しない。
2つのウイルス遺伝子型に対応
武田薬品が開発中の「TAK-214」は、ヒトに感染して症状を引き起こす主な2つのウイルス遺伝子型に対応する。同社は、同ワクチンの臨床第1/2相チャレンジ試験の結果を公表。同試験において「TAK-214」は良好な忍容性を示し、ノロウイルスにより誘発される症状および重症化の予防に好影響を与えることを示唆する結果を出した。
同社は、世界中の人々に影響を及ぼす重大な感染症に対して、積極的に取り組むとしている。

世界初となるノロウイルスワクチンのフィールド試験開始について - 武田薬品工業株式会社
http://www.takeda.co.jp/news/2016/20160621