新薬の効果を世界で初めて発表
量研機構(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)は2016年6月13日に悪性褐色細胞腫の効果的な治療薬の開発に成功したと発表した。この研究の成果は6月15に、米国核医学会でも口頭で発表される予定だ。(2016年6月13日現在)
この悪性褐色細胞腫は主に副腎にできるがんで悪性の場合、転移などもあることから外科手術の根治が難しく有効な治療方が確立されていない難しい疾患とされてきた。
集中してがん細胞を攻撃
従来はベータ線での治療が主であるが、量研機構はアルファ線がベータ線の約8000倍の質量を持ち、集中的に腫瘍を攻撃できることからアルファ線を用いたアルファ線がん治療薬剤の開発の研究を進め、アスタチン-211がん治療薬剤の製造に成功した。
マウスを使った実験では、腫瘍の増殖を抑えられた他、投与7日後の腫瘍の大きさが約半分の大きさになったことを発表した。また、副作用の一部とされる体重の減少についても認められなかったことから、効果的な治療薬として大いに期待されている。
そして今後は新薬の安全性についての検討を進めていくとしている。このアスタチン-211がん治療薬剤は投与された後、腫瘍組織に素早く効き、長時間放射線が体内に残ることがないので、日帰りの治療もできるとされている。
(画像はプレスリリースより)

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 プレスリリース
http://www.qst.go.jp/information/itemid034-000280.html