細胞増殖抑制遺伝子p21
2016年6月7日、国立大学法人筑波大学生命環境系・鶴田文憲助教、千葉智樹教授らの研究グループは、筑波大学生命環境系・兼森芳紀助教、馬場忠教授らとの共同研究で、細胞増殖抑制遺伝子p21の発現量を調節する新しいメカニズムを発見したことを発表した。
背景
細胞増殖抑制遺伝子p21の翻訳産物は、CIP/KIPファミリーに属するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害因子の一つであり、細胞の増殖抑制のみならず、分化や走化性にも関わることが報告されている。
p21の発現量が正常な閾値から逸脱すると、乳癌、膵臓癌、脳腫瘍など、様々な癌発症につながる可能性が示唆されているが、分解されやすく不安定で、その詳細な分子メカニズムには不明な点が数多く残されていた。
研究成果
研究グループは、細胞増殖抑制タンパク質p21の分解速度は、ユビキチンリガーゼSCFFbl12による混合型ユビキチン鎖付加によって遅延されることを発見した。
また、SCFFbl12によるp21のユビキチン鎖は、通常とは異なるユビキチン鎖の形状をとり、CDK2との結合能亢進、プロテアソームによる分解効率の低下を促し、結果的にp21発現量の増加や細胞増殖の抑制に寄与することを見出した。
p21の発現量制御は、細胞が正常に機能するための重要な分子機構であり、p21と同様、Fbl12の変異も腎臓癌発症の関連因子として報告されていることから、今回明らかとなったメカニズム破綻は、様々な癌発症や悪性化の新規メカニズム解明、並びに治療薬開発への貢献が期待される。
(画像はプレスリリースより)

筑波大学 プレスリリース
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