去勢抵抗性前立腺癌の治療薬
バイエル薬品株式会社は、6月1日、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌の治療薬「ゾーフィゴ静注(以下「ゾーフィゴ」)」を発売した。
「ゾーフィゴ」は、日本で初めてのアルファ線を放出する放射性医薬品。骨転移巣に対して、抗腫瘍効果を発揮する。
大半が骨転移を発症する去勢抵抗性前立腺癌
前立腺癌の手術または放射線治療に続く薬物療法においては、内分泌療法が第一選択となる。前立腺は、男性ホルモン依存性の臓器であるためだ。内分泌療法は、ほとんどの前立腺癌に対して奏効する。しかし数年後には抵抗性が生じ、去勢抵抗性前立腺癌と呼ばれる状態となる。
去勢抵抗性前立腺癌の大半は、骨転移を発症する。骨転移では、疲労や衰弱など日常生活に支障を来す症状が現れ、生存とQOLに影響を受ける。そのため、骨関連の症状を早期に診断し治療することは、患者にとって非常に重要な意味を持つ。
骨転移巣を選択的に標的とする
「ゾーフィゴ」の有効成分であるラジウム-223は、主にアルファ線を放出する放射性同位元素であり、カルシウムと同様に骨塩複合体を形成することで骨、特に骨転移巣を選択的に標的とする。
アルファ線は、腫瘍細胞に対して高頻度でDNA二本鎖切断を誘発し、強力な殺細胞効果をもたらす。また、周辺正常組織へのダメージを最小限に抑えるとしている。
バイエル薬品は同剤の発売を通じて、前立腺癌患者の治療に新たな選択肢を提供するとしている。
(画像はプレスリリースより)

バイエル薬品「ゾーフィゴ静注」を発売 - バイエル薬品株式会社
http://byl.bayer.co.jp/html/press_release/